病気の知識 | 長引く咳(せき)、慢性の咳について

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長引く咳(せき)、慢性の咳について

(1)長引く咳(せき)、慢性の咳とは

専門的には3週間以上続く咳を遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)、8週間以上続く場合を慢性咳嗽(まんせいがいそう)といいます。

その原因を大きく分けると、①肺がん、②微生物による感染症(結核、マイコプラズマ肺炎など)、③アレルギーによるもの、④間質性肺炎、⑤肺気腫などがあります。

原因を調べるために、胸のレントゲン撮影、たんの検査、肺機能検査をします。
マイコプラズマ肺炎、結核、間質性肺炎などはレントゲン写真で異常な影があることから分かります。小さな影はコンピューター断層写真(CT)を撮ることで診断します。
結核は過去の病気と思われがちですが、不規則な生活を送っている若者や、抵抗力のおちた高齢の方がかかりやすく、集団感染をも引き起こします。良い薬があり、きちんと服薬すれば6ヶ月で治ります。

 

(2)アレルギーの咳(せき)

 

最近多いのが、アレルギーによるせきです。熱が無く、レントゲンも正常なのにせきが続く場合は、アレルギーによるせきが考えられます。
日中よりも夜間に多く、せきで眠れないこともあります。これには、①せき喘息と②アトピー咳嗽の2種類あります。

以前は、喘息というとゼーゼーするのが特徴でしたが、最近はゼーゼーのない、せきだけの「せき喘息」が増えています。ゼーゼーする喘息は、肺機能検査をすると分かります。ゆっくり吸ったり吐いたりする肺活量は正常ですが、大きく吸って、いっきに吐く量(1秒量)が低下します。
しかし、せき喘息では1秒量も正常のため、喘息かどうか決めるのが難しいです。

せき喘息の場合、気管支拡張剤が効くことが診断するのに決め手となります。しかし、治療は通常の気管支喘息と同じで吸入ステロイドが一番大事で、現在では吸入シテロイドと気管支拡張剤が一緒になった吸入薬もあり、毎日その薬を吸入するのが一般的治療です.一方、アトピー咳嗽は、ハウスダストや花粉などアレルゲンによってアレルギー性のせきが続くのですが、気管支拡張剤が効かず、抗アレルギー剤が効きます。この両者を区別するのは、せき喘息では3割がゼーゼーする喘息に移行するので、喘息の治療を長く続ける必要があるからです。

アトピー咳嗽ではアレルゲンを突き止め、発生する季節のみ、咳止めと抗アレルギー剤を服用するだけで良いです。
少ないながら、最近増えてきた原因として、逆流性食道炎に伴うせきがあります。(胸やけを併せて起こる場合と、せきのみの場合があります。)逆流性食道炎の薬が良く効きます。せきが続くと体力を消耗させます。原因を特定し、それに合った治療を受けましょう。