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間質性肺炎

(1)間質性肺炎とは

間質性肺炎は「肺炎」という文字は使われていますが、細菌感染によって起こるいわゆる一般的な肺炎とは炎症の部位が異なる全くべつの病気です。
肺の奥にある肺胞の中に炎症が起きるのが通常の肺炎ですが、間質性肺炎は、さまざまな原因からこの肺胞を作る薄い壁の中(間質)に炎症や損傷がおこり、壁が厚く硬くなり(線維化)、酸素と二酸化炭素のガス交換がうまくできなくなる病気です。
また、線維化が進むと呼吸に伴って肺が大きく膨らむことが難しくなります。

(2)原因は

原因は多くの場合、特定が困難です。原因不明という意味で「特発性(とくはつせい)」という言葉を使い、原因不明の間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」と呼びます。
原因が推測されるものには、関節リウマチや多発性皮膚筋炎などの膠原病(自己免疫疾患)、職業上や生活上での粉塵(ほこり)やカビ・ペットの毛・羽毛などの慢性的な吸入(じん肺や慢性過敏性肺炎)、病院で処方される薬剤・漢方薬・サプリメントなどの健康食品(薬剤性肺炎)、特殊な感染症など様々あることが知られています。

(3)症状は

症状は息切れと咳です。息切れは最初、階段の上りや荷物を持った時など身体に負荷がかかった時に感じられますが、病気が進行すると部屋の中のちょっとした移動や着替えなどでも起こります。少しずつ進行しますので、本人は異常と感じていない場合があります。
実際に間質性肺炎として受診される方の多くは無症状で、胸部のレントゲンやCTの異常が受診の動機となっています。一般に咳は出ても痰を伴いません。

(4)症状は

診断にはレントゲン、CTといった画像検査が重要です。胸部レントゲンでは肺が縮小し、肺の下側がうっすら白くなっている画像が見られます。
実際にはCT検査が診断の中心となり、これにより間質性肺炎の有無から、「通常型」や「非特異性」など細分化されているタイプの分類、重症度など多くの情報が得られます。
また、SP-D、KL-6という採血項目で病気の活動性を評価し、呼吸機能検査の肺活量、肺拡散能や血液中の酸素濃度の低下の程度で病気の重症度を評価します。
また、補助的に行う検査として気管支鏡を使って行う気管支肺胞洗浄、肺生検があります。
肺生検には、さらに大きな材料を採取する目的で手術による外科的肺生検もまれに行われます。
また、レントゲンやCTの時間経過での変化を観察し、病気の進行速度を知ることも重要です。

(5)治療は

特発性間質性肺炎の中の一タイプである特発性肺線維症はこれまで有効な治療法がありませんでした。
しかし現在では、抗線維化薬という薬が発売され、治療が行われている症例が増え始めています。ただし、薬の効果は進行を遅くすることに留まります。喫煙は間質性肺炎を悪化させること、肺がんの合併を増すことから、ただちに禁煙することが重要です。

特発性肺線維症以外の間質性肺炎の場合、ステロイド薬や免疫抑制薬などが使用されます。軽症や進行に乏しい場合には経過観察することもあります。
また、若いながら呼吸機能の改善が期待できない場合には、一定の厳しい基準を満たすことを確認されたうえで、肺移植の適応も検討されます。
病気が進行し呼吸で酸素を十分取り組めない場合には、在宅酸素療法といって日常生活で酸素を吸入する治療法が行われ、必要であれば呼吸リハビリテーションも行われます。
さらに肺病変の影響で心臓の負担が増加している場合(肺高血圧)にはその治療もあわせて行います。