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非結核性抗酸菌症

(1)非結核性抗酸菌症とは

近年日本で中高年を中心に患者数が増えている肺の病気です。
1975年には年間10万人に1人、2007年には約6人にまで達しています。非結核性抗酸菌症は最初、自覚症状のない場合がほとんどです。
感染後数年から数十年の経過で病気が進行すると、せきや痰、血痰、微熱、倦怠感などが現れます。
原因となる菌=非結核性抗酸菌は、代表的なものが「アビウムコンプレックス菌」と「カンサシ菌」で、合わせて全体の90%を占めます。
土中やほこり、水回りなど身近な環境に生息し、菌を含んだ粉じんや水しぶきを吸い込むなどで体内に侵入しますが、誰もが発病するわけではありません。発症には遺伝的な要因が関与していると考えられていますが、詳しくはまだわかっていません。アビウムコンプレックス菌による発症は中高年女性に多く、カンサシ菌による発症は若い男性に多い傾向があります。
非結核性抗酸菌は、毒性が比較的弱いことから、結核やかぜ、インフルエンザなどと異なり、人から人へは感染しません。

(2)検査・診断、治療は

まず、胸のレントゲン検査を行い、肺に影があればCT検査により詳しく診断します。同時に、痰を採取して調べることで、抗酸菌の種類を特定します。
治療の基本は薬物療法となります。「クラリスロマイシン」という抗菌薬と、結核の治療でも使われる「リファンピシン」「エタンブトール」という2種類の薬の併用が中心となります。
ただ、薬の効きが弱いのに加え、菌が検出されなくなっても、1年は薬を飲み続けなくてはならず、治療は長期に及ぶケースが多いようです。
体力がある若い人などで、菌に侵されている部分(病巣)が一部にまとまっている場合には、病巣を取り除く外科的手術を行うこともあります。
一方で、病気が進行せずに数十年経過することもまれではありません。自覚症状があればすぐに治療を始めますが、なければ定期的に経過を観察する場合もあります。

非結核性抗酸菌症では、日常生活を改善することによって、身体の抵抗力や自然治癒力を高めることが重要になります。治療中は、規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、ストレスや疲労をためないことを心掛けましょう。